
30歳で結婚後、高熱・喉の腫れ・口内炎などの症状に悩まされた私。
「新婚なのに、結婚して迷惑かけてしまった……」
夫より夫の両親に何をいわれるか、不安で仕方がなかったものです。
私の心配をよそに、夫は親族の内科医に相談したり、
病院へ必ず付き添ってくれたり、親身になってくれました。
近隣の病院では解決しないかもしれないな……と思っていたときのこと。
深夜に再び42℃の熱に見舞われ、
車で10分ほどの距離にある東邦大学大橋病院の救急外来を受診。
対応してくれたのは、研修医の若い女の子。
血液検査、口内炎、全身状態を診て、彼女は私の目の前に跪いてこういった。
「この口内炎はアフタ性潰瘍で、ベーチェット病の疑いがあります」
この時、初めてベーチェット病という言葉を聞きました。
「昼間に膠原病内科を受診してください」
今まで扁桃炎で発熱だと思ってきたのが、
驚きと心の中のざわめきでいっぱいになりました。
まずは、疑い。
しかも、私はその病気について何も知らない。
「どんな病気だろう、でも原因がはっきりすればすっきりする!」
不安半分、期待半分といった心境でした。
膠原病内科を受診すると、年配の男性医師が対応してくれました。
同じようにデータや私の症状をカルテで診て、一言。
「研修医が何いったかわかんないけど、ベーチェット病じゃなくて単なる扁桃炎だから」
バッサリ……。 触診も視診もない。
あまりの物の言い方に、
「この人には医学の知識はあっても、人間の心はないんだろう」
そんな風に感じましたね。
教科書通りの知識に当てはまらなければ、
目の前に辛いと訴えている患者がいても、真っ向から否定する。
その男性医師の名前こそ忘れましたが、顔ははっきり覚えています。
そして、あの時の研修医の女の子にもう一度会ってみたいと、今でも思っています。
「あなたは正しかった」
医師は経験だけが重要なのではない。
真っさらな心の目を持つことも必要なんだ。
研修医というまだ
どの色にも染まっていない彼女だからこそ、私の苦しみを覗くことができた。
この時もう少し踏み込んで診察してもらえていたら、
私はもっと早く痛みや苦しみから解放されていたのだと思う。