
乳幼児の予防接種は、
すごく忙しいですよね。
私も経験しています。
母子手帳とスケジュール表を見比べながら、
接種漏れがないか不安でした。
ロタウイルスや水疱瘡といった、
乳幼児がかかりやすい危険な病気に限り、
自己負担で接種しなければならなかったものが、
どんどん定期接種という公費負担に切り替わり出しました。
2人目になって、
1回14,000円のロタウイルスを2回接種しました。
すごい出費に、戸惑いを覚えました。
でも、病気はやっぱり怖い。
自分もかかるかもしれないと思い、
そのリスクを重く見て、接種を決めたものです。
私は25歳で水疱瘡にかかり、入院しました。
会社に復帰するまで、1か月もかかったんです。
社会人になってからだったので、
顔にできた水疱瘡の痕が恥ずかしくて、
とても嫌で。
そうした経験を踏まえ、
今回は新たに定期接種に加わった
「B型肝炎ウイルス」についてご紹介します。
B型肝炎と乳幼児って、
あまり関連がないように感じませんか?
肝炎って、
お酒を飲んでいる人がかかる病気じゃないの?
しかし、実は違うんです。
肝炎は、A型・B型・C型と種類があります。
なぜ、
B型肝炎だけが定期接種の対象となったのかも、
きっとご理解いただけると思います。
2016年10月から、公費負担で受けられるようになりました。
ただし、公費で受けるためには条件があり、
知っておかなければ損をします。
まずは、B型肝炎の基礎知識からスタートしましょう。
《B型肝炎の感染ルート》
・ ウイルスキャリアからの血液感染
・ 妊娠中の母子感染
感染ルートだけを見ても、
赤ちゃんと深い関連があるのがわかりますよね。
3つの肝炎の中で、唯一母子感染する病気です。
垂直感染と呼ばれる現象です。
B型肝炎ウイルスに感染していることを知るには、
妊娠中に血液検査をする必要があります。
HBs抗原が陽性となった場合はウイルスキャリアとなり、
医師の判断で出産直後の最初の予防接種が行われます。
《予防接種のスケジュール》
・ 母子感染の場合
生まれて12時間以内に1回目、
2回目は生後1か月、3回は生後6か月
・ 母子感染ではない場合
生後2か月から受けられます。
3回目まで間隔を空けて受けます。
ただでさえ忙しい予防接種に、
新たにB型肝炎が加わって、
パニックになる場合もあるでしょう。
しかし、ここで時期を逃してはいけません。
公費対象となるのは、0歳児に限定されます。
最初の1回目が遅れ、
3回目が1歳以降になってしまったら、自己負担です。
自己負担ならもういいやって思いませんか?
それが落とし穴です。
B型肝炎ウイルスに抗体を作り出すためには、
3回は必ず打たなければなりません。
そのためにも、
なるべく早い時期から定期接種を受けるようにしましょう。
3回定期接種を受け、
抗体が十分にできていないお子さんは、
4回目の追加接種を行います。
ちなみに、自己負担になる場合は、
各自治体で助成制度を設けているかを調べましょう。
通常は、
自己負担なら6,000~8,000円というのが一般的です。
ところで、
B型肝炎って何が怖いの? と、思う方が多いはずです。
肝臓は、症状が出にくい部位だといわれています。
何らかの異常があったとしても、
自分で認識できる頃には重症という事態も、
決して珍しくないんです。
B型肝炎の怖いところは、症状が進行していき、
肝硬変や肝臓がんになる可能性が高いことです。
国の特定疾患でも重要視されている、
劇症肝炎に発展することも指摘されています。
命の危険性があるからこそ、
定期接種へと切り替わったと捉えておいてください。
B型肝炎ウイルスワクチンが定期接種になったのは、
2016年10月です。
しかし、日本は先進国の中でも遅い国でした。
というのも、
世界保健機関(WHO)がすでに指針を発表していますが、
「 B型肝炎ウイルス母子感染予防のための新しい指針」を元に、
世界にB型肝炎ウイルスワクチンの定期接種を広めよう
という動きがあるからです。
ワクチンは副作用が心配という声も、
少なからずあります。
B型肝炎ウイルスワクチンの副作用は、
ほとんどといっていいほど、出ていません。
打った場所が少し赤くなるという程度で、
多くのお子さんは副作用が出ずに過ごせています。
忙しい予防接種のどこに、
B型肝炎ウイルスワクチンを加えればいいの?
大丈夫です。4種混合ワクチンと一緒に打つこともできますし、
ロタウイルス・ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンとも併用できます。
きちんとスケジュール管理できるよう、
小児科でも配慮されています。
予防接種カレンダーを受け取る場合が多いと思いますが、
B型肝炎ウイルスワクチンも記載されています。
病院ごとに、声かけしていることもあるので
公費になったことだけでも覚えておくと安心ですよ。
今まで自己負担だからと諦めていた0歳児のママ、
ぜひ時期を逃さずに定期接種を受けてくださいね。
大切な赤ちゃんを生涯に渡って守るために、
そして重篤な病気に陥らないために、
このワクチンはあるのですから。
小児科にはB型肝炎ウイルスについての啓発メモや、
パンフレットも用意されています。
ぜひご一読ください。